韓国は、世界でも有数のコーヒー消費国になりました。2022年の一推計では、成人一人あたり年間約353杯。街角にはカフェが並び、ほとんどのオフィスにコーヒーマシンがあります。
韓国のコーヒー文化は、飲む行為を超えて生活文化へと育ちました。インスタントから焙煎豆、スペシャルティへ。豆の産地、焙煎度、抽出法を選び、家でグラインダーとドリッパーを使うことも珍しくありません。
午後2時の迷い
文化が成熟する一方で、午後のカフェインを気にする人も増えました。朝の一杯は一日の始まりになりますが、午後のコーヒーは夜の眠りに影響することがあります。カフェインの半減期には個人差があり、健康な成人でも数時間かかるためです。
そこで、午後にも同じような満足と区切りをくれる飲み物を探すようになります。
代わりでは、満たされない
選択肢はあっても、十分とは限りません。デカフェにも少量のカフェインが残ることがあり、製法を気にする人もいます。一般的なティーバッグは便利ですが、香りと奥行きが足りないことがあります。ハーブティーの軽やかさも、コーヒーの複雑さとは別の魅力です。
味が薄いと感じさせず、日常的な価格で楽しめる午後の一杯はつくれないだろうか。私たちの答えが、包種ほうじ茶でした。
烏龍茶を土台にしたこのお茶は、最初に木やナッツを思わせる力強い香ばしさが立ち、最後に文山包種の花の香りが残ります。茎を中心に使う設計でカフェインは比較的控えめですが、ゼロではありません。
習慣の力を借りる
味や健康面だけでは、新しい習慣は根づきません。大切なのは、今ある行動との摩擦を減らすことです。
湯温を確かめ、フィルターを置き、ゆっくり湯を注ぐ。ハンドドリップには、コーヒーを飲む人が大切にしてきた儀式性があります。豆をほうじ茶へ置き換えるだけなら、道具も時間も動作も大きく変わりません。
既存の習慣へ小さな行動を重ねる「ハビット・スタッキング」の考え方です。まったく新しい習慣を一から始めるより、自然な選択になりやすい。ハンドドリップは見た目の演出ではなく、コーヒー文化の良い部分を残すための設計でした。
ハンドドリップのための包種ほうじ茶
コーヒーの魅力はカフェインだけではありません。酸味から苦味の余韻へ移る複雑さがあります。ほうじ茶にも、同じように一口の中で変化する味が必要でした。
土台に選んだのは、蘭を思わせる清らかな余韻で知られる文山包種烏龍茶。一般的な高温・短時間の焙煎だけでは香ばしさが前へ出て、余韻が短くなりがちです。
そこで90〜100℃の比較的低い温度で長く焙煎し、最初のナッツ香と包種茶らしい花の終わりを両立させました。粉砕も細かくしすぎず、香ばしさだけが強調されない粒度へ調整しました。
コーヒーを消すのではなく、選択肢を増やす
目指したのは、単なる代用品ではなく、新しい茶文化の可能性です。コーヒーは一日の開始、休憩の合図、会話のきっかけを担っています。その文化的な価値を理解し、別の茶葉で読み替えることが重要でした。
包種ほうじ茶を形づくる三つの考え
- カフェインの負担を抑えつつ、ハンドドリップという親しんだ行為を残す。
- 包種烏龍茶の花香と独自の焙煎・粉砕で、香ばしさから花へ移る複雑な味をつくる。
- インスタントからスペシャルティへ進化したコーヒーのように、お茶にも新しい楽しみ方を提案する。
包種ほうじ茶のハンドドリップは、その最初の一歩です。コーヒーのように豊かでありながら、確かにお茶である味。午後の一杯に迷う日に、いつもの手順から新しい香りを始めてみてください。


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