六月が近づくと、熱いお茶より冷たい一杯に心が向く日が増えてきます。
熱く淹れたお茶へ氷を入れるのと、水出しにするのは同じでしょうか。コールドブリューコーヒーが穏やかで香り高く感じられるように、お茶も抽出温度で表情が変わります。
水出し茶とは
冷水または常温の水へ茶葉を入れ、時間をかけて抽出する方法です。苦味と渋味が比較的穏やかで、甘味とうま味を感じやすい、なめらかな味になります。台湾をはじめとする暑い地域では、ボトル飲料や専門店のメニューとして広く親しまれています。
温度が低いと、渋味に関わるEGCGや苦味に関わるカフェインは熱湯より抽出されにくくなります。一方、テアニンやEGCなどの成分が相対的に目立ち、甘味とうま味を感じやすくなります。
渋味は、茶のポリフェノールが唾液中のたんぱく質と結びつき、口の潤いを一時的に減らすことで生まれます。水出しではその抽出が穏やかなため、乾くような感覚も抑えられます。
味は茶葉の酸化度でも変わります。緑茶や軽く酸化した烏龍茶は、花のような香りと甘い余韻が出やすく、紅茶は丸みのある香りと厚みを見せます。
どこから始まったの?
水出し茶は日本で生まれ、その後、亜熱帯の気候をもつ台湾で大きく広がったとされています。繊細な花香と甘味をもつ台湾の高山烏龍茶は、上質な水出し茶として特に人気です。
日本と韓国には飲用できる湧水が身近な地域も多く、冷たい水をそのまま味わう生活文化が育ってきました。水を煮沸する必要があった土地とは異なる、冷たい飲み物への親しみも背景の一つです。
アレンジもできます
苦味と渋味が穏やかな水出し茶は、ティーカクテルやミルクティーにも向いています。ブランデー、ジン、ウイスキーと合わせても茶の香りが埋もれにくく、ミルクとは熱抽出より軽く清らかな調和をつくります。
業務用途では、超音波抽出や高圧処理など、抽出時間と衛生管理を両立する非加熱技術の研究も進んでいます。
基本のつくり方
- 清潔な密閉容器に、茶葉と冷水を1:100の比率で入れます。例:茶葉5gに水500ml。
- 冷蔵庫で6〜12時間を目安に抽出し、好みの濃さで茶葉を取り出します。
- 清潔に扱い、冷蔵したまま24〜48時間以内を目安に飲み切ります。
早くつくりたいときは、清潔な環境で常温抽出を短時間だけ行い、その後すぐ冷蔵します。濃い味なら1:50、軽い味なら1:200へ調整してください。私たちの家では1:50で常温寄りに抽出し、たっぷりの氷へ注いで来客に出します。
水出しでもカフェインはゼロにはなりません。夕方以降は、茶葉の種類とご自身の体質に合わせてお楽しみください。





