そうです。私たちのほうじ茶は、ただのほうじ茶ではありません。「包種ほうじ茶」という、少し不思議な名前です。
日本のほうじ茶を、酸化度が低く花香で知られる台湾烏龍茶・文山包種で再解釈しました。原料選び、目指す香味、粒度、焙煎度まで、台湾の製茶師と一緒に設計したTinge of Soulのシグネチャーティーです。
ここでは、その一杯ができるまでの道のりを紹介します。
出発点は、コーヒー
開発は「なぜ今、ほうじ茶を求める人が増えているのだろう」という問いから始まりました。日本でも人気が高まり、対話やレビュー、市場の声から、主な理由が見えてきました。
- コーヒーの量を減らすための、満足できる飲み物を探している。
- 香ばしい穀物茶は単調に感じることがある。
- ほかの代替飲料より味に厚みがあり、カフェインが比較的控えめなものを求めている。
次に考えたのは、誰が、なぜコーヒーをよく飲むのか。答えはすぐに見つかりました。仕事机、会議、昼食後の休憩でカップを手にするオフィスワーカーです。
コーヒーは生活に深く組み込まれています。代わりになる飲み物も、その生活へ無理なく入れなければ続きません。
お茶を遠ざける摩擦
お茶が日常に入るのを妨げるものを三つに整理しました。
- 新しい道具:良い茶葉ほど専用の茶器が必要だと思われやすい。
- 穏やかすぎる味:果実、ナッツ、カカオまで感じるコーヒーに比べ、お茶は薄いと思われやすい。
- 便利さ:コーヒーにはドリップバッグやカプセルがある一方、大きな茶葉は一般的なティーバッグに収まりにくい。
包種ほうじ茶は、この三つを一つずつ減らすように設計しました。
香ばしく、繊細な味を探す
低カフェインで香ばしく、それでいて単調ではない味の土台に、台湾・文山地域の文山包種を選びました。酸化度8〜18%ほどの軽やかな烏龍茶で、やさしい花香と澄んだ印象をもちます。
最初の試作は、包種茶の茎90%と葉10%。短い焙煎では深さが足りず、長くすると花の余韻が弱くなる。葉と茎の比率、温度、時間を何度も変えました。
やがて「最初は親しみのある香ばしさ、次に烏龍茶の奥行き、最後に包種茶の花」という流れへたどり着きました。烏龍茶そのものの複雑さを生かし、コーヒーから移るときの味の落差を減らしています。
すでにある道具を使う
韓国ではハンドドリップやフレンチプレスが広く使われています。新しい茶器を買わなくても淹れられるよう、茶葉の粒度を調整しました。
ハンドドリップのフィルターへ約5gを入れ、コーヒーと同じように湯を注げます。複数回抽出しても味が続きます。伝統的な茶器はもちろん、たっぷり飲みたい私たちはフレンチプレスもよく使います。
どこへでも持ち出せる
仕事や学校へ茶器を持ち歩くのは簡単ではありません。そこで、大きな茶葉を楽しめるドリップバッグを用意しました。湯に約2分浸すだけで、厚みのある香りと味を引き出せます。
一杯を、自分たちで設計する
包種ほうじ茶の開発に時間がかかったのは、上質なお茶を便利に、納得できる価格で届けたかったからです。原料の調達から焙煎、輸入まで、製茶師と直接協働して工程をつなぎました。
忙しい一日の中で、どこでも気軽に淹れられ、香ばしさの奥に花が残る。その複雑さが、小さな落ち着きの時間になりますように。





